欝とは、自分が無理をしていることを認識できなくなる時期にすでに始まっている

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2017/03/23 欝とは、自分が無理をしていることを認識できなくなる時期にすでに始まっている

さて、「欝」の人というと、皆さんはどんなイメージをもたれますか?

 

げっそりとやつれ込んでいて、何にもやる気が出ず、「自分がこんな状態では周りに申し訳がない、死んでしまうしかない」と、切々と涙をこぼしながら訴える人?

 

いいえ、

「客観的に見ればその人が疲れ果てたり、泣き言を人に言いたくなるような状況下においても、全く平気そうに、明るくすら振舞い、精力的に勉強や仕事を続けている人」

 

がいたら、その人はすでに「欝」にはまりつつある、と私なら判断します。

 

つまり、「自分がつらい筈のに、つらいという自己認識が、その人から『1,2週間以上』失われてしまった」ら、その時点で、その人は、欝への道をまっさかさまに突き進んでいます。

 

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人間に限らず、動物一般には、体内・脳内の状態を「非常事態切り抜けモード」に切り替える自動スイッチのようなものがあります。自然の大災害や命の危険にさらされると、それが発動して、いわゆる「火事場のクソ力」状態になります。

 

長時間睡眠とかをとらなくても移動し続けたり、頭の回転が鈍らなくなるのです。

 

大地震の直後、一気に途方にくれて何もできなくなる人ばかりかというと、そうではなく、むしろ普段は発揮されないくらいに冷静に、不眠不休の活動をし続け、善意の相互扶助のコミュニティを広げ、自然に活動を続ける人が意外なまでに多いというのは、結構知られたことでしょう。

 

あるいは、兵士は、最前線での戦いのさなかなら、一週間の不眠不休の戦闘や行軍にも耐えられてしまいます。

 

しかし、この「非常事態モード」は、多くの場合、1週間ぐらいしか持たないものです。

ハリケーンにせよ、大洪水にせよ、たいていの自然災害というのは、どんなに巨大なものでも、一週間以上、そのピークが続くものはありません。生き残れた、移動できる動物は、1週間のうちに、安全な土地に移動しているでしょう。

動物の体内スイッチは再び「非常事態切り抜けモード」から自然と「オフ」になり、むしろ「休息しながらの充電モード」になり、次第に「日常モード」に復帰するでしょう。

 

人間も、この「動物的」メカニズムを受け継いでいるだけなんですね。

 

人間にも、種の保存のため、この「非常事態」への耐性が特に強い遺伝子を受け継いだ人たちかいると思います。

 

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ところが、人間は、必ずしも自然の摂理に一致しない「文化」というものを築いてしまいました。そして、客観的に見れば「生存の必要性からすればそこまでしなくても生きていけるはず」の社会活動や仕事に、まるで「非常事態モード」にはまった場合と同じように、不眠不休で打ち込み続ける泥沼から抜け出せなくなる人も出てくるという問題を抱え込むようになったのです。

 

典型例。

 

配置転換されたり、昇任して、仕事の量がぐっと増えた。ある時期まではそれを本人は大変だ、睡眠不足になってきた思いつつも、歯を食いしばってがんばった。そのうち、同じ役職にある周囲の人は身体の病気になったり、する休みをはじめたり、仕事をやめてしまったりしてもその人はがんばった。

いよいよその人の「勤勉さ」への周囲の期待と依存は高まる。

 

その頃になり、気がついてみると、睡眠時間が非常に少なくても疲れを感じなくなる。

 

その人は、自分の「気力」が勝った!! などと思いつつ、それから2,3ヶ月は明るい顔で元気いっぱいで働き続ける。

 

数ヵ月後、何かのきっかけで、彼は「うつ病」と診断される。

 

「やれます! がんばれます」

 

と本人はそのことを受け入れない。ほんとにやれそうな気でいるのである。

 

それでも彼の状態が心配な人事課長は、会社の産業医との面接を勧めて、産業医の説得で、しぶしぶ休職を受け入れる。

 

その2,3日のうちに、彼は、自分が何をするのにも億劫で、トイレや、1,2メートル先の冷蔵庫の食べ物の扉を開けようとしても、身体が動かないまま、いつの間にか日が暮れているのに気づく。

 

「非常事態切り抜けモード」のスイッチが、自然に、ブレーカーが落ちるように落ちるのが、この人の場合、あまりにも遅すぎたのです。

 

そのブレーカーが、休息と薬の助けと自然治癒力の中である程度回復するのに、数ヶ月から年単位かかるわけです。

 

世間の人々は、この状態に陥った「後の」人の「欝」についてのイメージしかありません。

 

彼は、とうの昔に、「非常事態切り抜けモード」のブレーカーが再びOFFに自然に切り替わることができなくなった時点で、すでに病気だったともいえます。

 

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だから、欝の人は、見かけ上人よりすごく「元気」で「社交的」だったりする場合も多いという「逆説」があります。

 

「見かけは」元気そうでも、「言っている言葉の内容を文字通りに受け止めると」、この人、つらい状況にあるはずなのに、と、そこにある種の、態度と言ってることの「不自然なギャップ」を感じたら、その相手は欝にすでにかなりはまっている可能性があります。

回復後も、無理をせずに休息を取るベースをわきまえるまでが、通常のケースではいへんです。欝病者とは「無理をしたがる」ものですから。

 

 

なぜ、鬱病は、回復期の上昇カーブにかかったあたりで自殺率が高いといわれるのかも、こうした理由によります。

 

少し調子を取り戻したつもりで、仕事に復帰したら、まだ思うように仕事ができない、すぐに疲れ果てる自分に直面して悲観するわけですね。

 

一度欝はまった人が、ちょうどいいペースで仕事をするとはどういうことかを、少しずつ社会復帰しながら自分なりのスタイルを完成させていく、というのは、ものすごく大変なことです。

 

周囲の期待と、「元通りに働きたい」という「焦り」に押し流されず、前ほど「お人よし」で「便利な人」「いい人」であることを放棄して、マイ・ペースの生き方に切り替えていく。

 

もし、そのことに本当にうまく成功して、新たなライフスタイルにたどり着けたら、ひょっとしたらその人は、前ほど「しゃにむに」働かないけど、一回り大きくなり、ほんとうの資質を開花させ、真の意味で組織や社会に「必要な」人間に脱皮しさえするかもしれません。

 

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こうしたことへの認識がもっと広まれば、そういう「『働け』過ぎ」の人に、実は依存して、彼らを犠牲者として成り立っている、現代社会も少しすつ変わるのに、という思いを込め思いつつ、私なりの言葉で書いてみました。

 

 

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